患者紹介ビジネスの闇

患者紹介ビジネスの闇

 

来院保証で被害数億円規模 50歯科医院
アプリを使った患者来院保証サービス

大阪のソフト会社に対し「被害者の会」結成

スマートフォンのアプリなどを使い実質無料で新規患者の来院を保証するとうたったサービスを巡り、大阪のソフトウエア会社と全国の歯科医院が金銭トラブルになっていることが分かった。大阪、東京など少なくとも21都道府県の約50医院が「患者が来ない」「IT機器のリース契約だけが残った」と被害を訴え、医院側の損失は数億円規模に上る可能性がある。医院の一部は大阪府警など警察当局に被害相談を始めた。

 

厚生労働省は「実質的な患者紹介ビジネスで不適切なサービスだ」としている。

大阪市旭区のソフトウエア会社「アルファラインジャパン」が提供したサービスで、現在は休止中だ。

歯科医院や契約書類によると、クーポンなどの特典付きで飲食店などを紹介する、東京のIT会社のアプリに医院の情報を載せることで、月10~20人の新規患者の来院を保証するという内容。医院のホームページを活用することもある。

医院側はアルファ社に料金を直接払わず、IT機器のリース契約を結んだ大手リース会社に、月5万円前後のリース代を数年かけて計200万~300万円納める。アルファ社はリース会社にIT機器を売って対価を得ていたとみられる。

契約時には毎月の新規患者数を10~20人に設定。患者がゼロならリース代金分を、足りなければその人数に応じた分をアルファ社が毎月返金するとしており、実質無料というのが特徴だ。来院数は医院に置いた専用機器に患者がスマホをかざしてカウントする。

しかし、医院の多くが患者は来ていないと主張。さらに「返金も一切なく、リース契約の支払いだけが残った」と訴える。アプリに情報自体が載っていなかったケースもあったという。

昨年10月に「被害者の会」を結成した東京の歯科医によると、大阪、東京、兵庫など21都道府県の約50の医院が被害を訴え、約10人が大阪府警や警視庁に被害を相談しているという。

アルファ社は2007年創業。アプリを運営するIT会社の代理店業務などをしていた。代理人弁護士によると、約500の歯科医院と似た契約を結んでいたが、資金繰りが悪化、昨年12月に大阪地裁に破産手続き開始の決定を受けた。

社長の男性は今年1月、毎日新聞の取材に「医院などに迷惑をかけて申し訳ない。患者の来院を報告しない医院があり、必要のない返金をして資金がなくなった。だます意図などない」と書面で回答した。

IT会社の担当者は「サービス内容を知らされておらず、迷惑している」。リース会社は「一切コメントしない」としている。

医療機関が「患者紹介」に対価を払うことは昨年4月、改正健康保険法規則で禁止された。厚労省医療課は「対価を取り戻そうと過剰診療につながる可能性があり、契約した医院側にも問題がある」としている。