内部告発者のリスク

内部告発者のリスク

内部告発者捜しで上司が自宅に無断で侵入し、郵便物を盗むなどしたため精神的苦痛を受けたとして、不動産賃貸大手「アパマンショップリーシング」(東京都中央区)の九州支店の元契約社員、さん(32)が同社に対し20万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が22日、福岡簡裁であった。堤博美裁判官は「内部告発に関する情報を得るためで、明らかに不法行為」と指摘し、同社に14万円の支払いを命じた。

国土交通省などにアパマンショップが管理する福岡市の2件のマンションで、前の入居者が自殺したことを説明せずに賃貸していると文書で内部告発した。宅地建物取引業法は、借り手の判断に影響する重要事項の事前説明を義務付けており、自殺や殺人事件が起きた「事故物件」は一般的に対象とされる。

判決などによると、アパマンショップ管理の福岡市博多区のマンションに居住。昨年5月初旬に会社側から6月末での契約社員の期間満了を告げられ、マンションからの退去申し出書を提出した。荷物を残し実家に帰省していたが、上司が5月下旬にスペアキーを使って無断で自宅に入り、郵便受けの複数の郵便物を持ち出した上、自宅の鍵を交換した。

堤裁判官は「賃貸契約は少なくとも5月末まで継続していた」と判断。その上で「郵便物の持ち出しは著しく違法性が高い。動機は内部告発に関する情報を得るためで、明らかに故意による不法行為。鍵も入居させない意図で交換したと認められる」と指摘した。室内に入った行為は「管理者であり、不相当だが違法とまでは言えない」とした。

アパマンショップ側は「退去申し出で賃貸の解約が成立しており、管理者として室内の状況確認と郵便物の一時保管をしていたに過ぎない」と主張していた。アパマンショップリーシングは「判決を見て今後の方針を検討したい」としている。

アパマンショップリーシングは「アパマンショップホールディングス」(東京都中央区)の100%子会社で、都市部を中心に全国に約70店舗を展開している。