シャープ 振り込め詐欺対策用の電話機

シャープ 振り込め詐欺対策用の電話機

ファックス「UX-AF90CL/CW」、電話機「JD-AT80CL/CW」
シャープは2月5日、振り込め詐欺対策の7つの機能を搭載したファックス「UX-AF90CL/CW」と、電話機「JD-AT80CL/CW」を発表した。発売日はファックスが2月27日、電話機が3月13日で、いずれもオープン価格。また、東京足立区の65歳以上の100世帯に無償で貸与し、2015年4月から9月までの半年間で社会実験を実施する予定になっている。

 

旨を伝え、名振り込め詐欺対策のファックスと電話機は、電話帳に登録されていない番号から着信があった際に自動メッセージで録音している乗るように促す「自動通話録音」「自動聞いてから応答」や、電話帳に登録されていない番号からの着信を赤いランプで知らせる「あんしんLED」、非通知からの電話を自動で拒否できる「非通知お断り」といった、不審な相手の通話をあらかじめ出なくする機能を搭載している。

このほか、電話帳に登録されていない番号に対し通話後に注意を呼びかける「通話後声かけ」、今後の着信の許可・拒否を分類する「かんたん通話後番号設定」、家族や警察・自治体などあらかじめ登録された相談先にワンタッチで電話がかけられる「あんしん相談ボタン」を装備。これらの機能は全てオンの状態で出荷・販売される。また、大型のディスプレイの採用やボタン一つで音量を大きくできるボタンを搭載しており、高齢者を意識した設計になっている。

振り込め詐欺対策用の新製品を出した背景には、被害者と固定電話の購買層がほぼ一致していることが挙げられる。2014年度の警察庁の調査によると、振り込め詐欺の被害者は70歳以上が68.1%、60歳代が17.0%となっており、50歳以下は14.9%に過ぎない。また、女性が81%を占めるという。特殊詐欺の被害総額は約559億円に上り、過去最悪の数字だ。

一方、シャープの調べでは固定電話の購入者は70歳以上が42.8%、60歳代が30.9%と合わせて7割以上になる。デジタル情報家電事業本部の辰巳剛司部長は「振り込め詐欺の対策を徹底的にすることが社会的にも求められている」と話す。

足立区で社会実験

2月5日に開かれた新製品発表会では、高齢者世帯を狙う詐欺被害の実態や当事者・家族の認識についても紹介された。オレオレ詐欺の手口としては、携帯番号の変更や会社のお金の使い込みといった話を畳み掛け、上司を名乗る別人に替わって、被害者が冷静な判断をできなくしていく。

こういった手法は各種メディアで注意喚起がなされているが、警察庁による被害者アンケートによると「自分は大丈夫と思っていた」「考えたこともなかった」という答えが92.4%となっており、家族から見た被害者の判断能力や記憶力についても、48.4%が問題視していなかったという。辰巳部長は「(被害者本人が)社会現象が自分のことだと理解されていなかったし、家族も(被害者の)判断能力をあまり気にしていなかった」と指摘する。

最初から常に留守電に設定しておけば、受話器を取らずに済むのではないか、という考えもある。しかし、同じ番号からの電話が再度かかってきてしまう、知り合いがかけた際にすぐに切れてしまうという問題が残り、「コミュニケーションの機会が必要にもかかわらず、接点がなくなってしまう」(辰巳部長)。特に一人暮らしの高齢者の孤立につながるという危惧も新機能開発で考慮されたという。

社会実験を行う足立区は、人口67万4111人のうち高齢者は16万2806人と24.2%を超える。特殊詐欺被害は2013年が107件、2014年が101件発生しており、どちらも被害総額は3億円を超えている。東京都では「特殊詐欺根絶オール東京プロジェクト」を推進しており、足立区がモデル自治体に選ばれていることも今回の実験実施につながった。

対象となる100世帯は区報やWebサイトで募集。アンケートやインタビュー協力に同意した世帯にモニター機器をシャープが無償で貸し出すが、実験期間後の引き続きの使用についても「検討している」とし、検証次第では購入者に補助金を出すといった施策の可能性もあるとした。シャープも他の自治体との実験や連携について「申し出があった上で、個々の案件を検討して対応したい」(辰巳部長)としている。新製品の機能が成果を上げるかどうか、注目が集まりそうだ。